介護保険制度
高齢化が進み、寝たきりの高齢者が増えています。介護が必要な状態であっても住み慣れた地域で安心して生活できるよう、社会全体で支えていくのが、「介護保険制度」です。
介護保険制度は、市町村が保険者となり、40歳以上の方が加入します。介護サービスを受けるためには、要介護認定申請が必要です。
65歳以上の人(第1号被保険者)
サービスが利用できるとき
日常生活動作に介護や支援が必要となったとき
保険料
所得に応じて決められ、老齢(退職)年金からの天引きまたは個別に市区町村へ納付
40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)
サービスが利用できるとき
老化に伴う病気が原因で、介護や支援が必要となったとき
保険料
加入する医療保険ごとに決められ、医療保険の保険料(税)と合わせて納付
介護保険制度の概要
利用者の所得によって、負担割合が変わる場合があります。
介護サービスの種類
居宅(介護予防)サービス
居宅サービスには、介護や入浴介護、看護、リハビリなどのサービスを自宅で受けるものと、通所や短期入所によりサービスを受けるものがあり、また他に、福祉用具や住宅改修などの費用が支払われる種類のものがあります。
居宅サービスの対象者は、要介護者のみで、要支援者は対象となりません。居宅サービスの同様のサービスで対象が要支援者であるものを、介護予防サービスといいます。
居宅サービス及び介護予防サービスの管轄は、都道府県です。(地域密着型サービスとは異なります。)
訪問介護、介護予防訪問介護
一般的には、ホームヘルプサービスといわれています。
食事や排泄、入浴、衣類の着脱、通院介助などの「身体介護」と、掃除、洗濯、買い物などの「生活援助」に区分されます。
訪問入浴介護、介護予防訪問入浴介護
利用者の自宅に、浴槽や必要な機材を持ち込んで、入浴の介護を行うサービスです。介助があっても自宅の浴槽に入れない方や、通所による入浴もできないような重度の方が対象となります。
訪問看護、介護予防訪問看護
看護師や保健師などが利用者の自宅を訪問し、医師の指示のもと、療養上のお世話や医療処置をおこなうサービスです。
訪問リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が利用者の自宅を訪問し、医師の指示にもとづいて、理学療法や作業療法などのリハビリテーションをおこなうサービスです。
居宅療養管理指導、介護予防居宅療養管理指導
医師、歯科医師、看護師、薬剤師などの医療従事者が利用者の自宅を訪問し、療養上の管理および指導をおこなうサービスです。
通所介護、介護予防通所介護
一般的には、デイサービスといわれています。
利用者は、老人デイサービスセンターや養護老人ホームなどに日帰りで通所し、入浴や食事、健康維持や機能訓練などのサービスを受けます。
通所リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーション
デイケアといわれます。
利用者は、介護老人保健施設や病院、診療所などに通所し、理学療法士や作業療法士などによるリハビリテーションを受けます。
短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護
ショートステイといわれます。
利用者が介護老人保健施設などに短期間(数日から1週間程度)入所し、入浴や排泄、食事、機能訓練などのサービスを受けるものです。
短期入所療養介護、介護予防短期入所療養介護
これもショートステイですが、医療的な側面が強く、医学的な管理のもとで介護、機能訓練、日常生活上のサービスを受けるものです。
特定施設入居者生活介護、介護予防特定施設入居者生活介護
介護保険の指定を受けた有料老人ホーム等に入所している要介護者又は要支援者が受けられるサービスで、入浴や排泄、食事、機能訓練や療養上のお世話などをおこなうものです。
福祉用具貸与、介護予防福祉用具貸与
要介護者等が自立した生活を送れるように、車椅子や特殊ベッドなど12種目の福祉用具をレンタルするサービスです。
特定福祉用具販売、特定介護予防福祉用具販売
福祉用具のうち、入浴や排泄など、レンタルになじまないものについて、購入費の9割を給付してもらうものです。
住宅改修費支給
要介護者等が自宅で安全に快適にすごせることを目的とした一定の工事に対して、住宅改修費の9割が支給されるものです。対象工事内容は、手すりの取り付けや、段差の解消、床材や扉の変更などがあります。
施設サービス
要介護認定を受けた人のうち、要介護1~5の方は、介護保険施設に入所し、介護や看護、リハビリテーション、療養などのサービスを受けることができます。
介護保険施設には、次の4種類があります。
介護老人福祉施設
これは、特別養護老人ホームが都道府県知事の指定を受けて介護保険施設となったものです。 入浴や排泄、食事などの介護が中心の施設です。
介護老人保健施設
これは、介護と医療の両方のサービスを提供する施設で、病院から家庭へ復帰するための中間的な施設といえます。
介護療養型医療施設
医療的な側面がもっとも強い施設です。療養上の管理、看護、医学的な管理のもと、介護や機能訓練などのサービスを提供するものです。
介護医療院
平成30年4月に創設されたサービスで、長期的な医療と介護を必要とする高齢者を対象とし、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能を併せ持った施設です。
地域密着型(介護予防)サービス
地域密着型サービスは、平成18年4月1日から新しくはじまったサービスで、小規模多機能型居宅介護事業や、夜間対応型訪問介護事業などがあり、また、以前居宅サービスの類型に含まれていたグループホーム(認知症対応型共同生活介護事業)も、新しい類型では、この地域密着型サービスに含まれることとなりました。
対象者が要介護者のサービスを地域密着型サービスといい、対象者が要支援者のサービスを地域密着型介護予防サービスといいます。
地域密着型サービス及び地域密着型介護予防サービスは、居宅サービスなどと異なり、管轄が市町村となっていて、これらの事業をはじめるには、市町村へ指定申請を行わなければなりません。
夜間対応型訪問介護
訪問介護員等が、夜間において利用者宅を定期的に訪問したり、緊急の通報に随時対応するなど、包括的に夜間訪問介護を提供するサービスです。
認知症対応型通所介護、介護予防認知症対応型通所介護
通所介護(デイサービス)の特殊例で、認知症の利用者のみを対象とするサービスです。
小規模多機能型居宅介護、介護予防小規模多機能型居宅介護
通いサービスと宿泊サービス、訪問サービスを一体的に、かつ柔軟に提供するサービスで、利用者にとってはなじみのある事業所において、様々なサービスをうけることができるという、優れたサービス類型です。
認知症対応型共同生活介護、介護予防認知症対応型共同生活介護
グループホームといわれます。 要介護者のうち、中程度までの認知症高齢者が受けられるサービスで、小規模な施設で共同生活をおこなうものです。平成18年3月までは居宅サービスに含まれていましたが、平成18年4月から地域密着型サービスに含まれることとなりました。
地域密着型特定施設入居者生活介護
利用定員29人以下の特定施設(有料老人ホーム)です。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
利用定員29人以下の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)です。
介護予防・生活支援サービス
介護予防・生活支援サービスは、平成27年4月1日から新しく始まったサービスで、市町村が地域の実情に応じて、多様なサービスを提供していくため、サービスを類型化し、それに合わせた基準や単価等を定めることができます。
介護予防・生活支援サービスには、次の3種類があります。
訪問型サービス
従来の介護予防訪問介護に相当するもの(訪問介護員等によるサービス)と、それ以外の多様なサービスがあります。
通所型サービス
従来の介護予防通所介護に相当するもの(通所介護事業者の従事者によるサービス)と、それ以外の多様なサービスがあります。
その他の生活支援サービス
訪問型サービスや通所型サービスと一体的に行われる場合に効果があると厚生労働省令で規定されているものです。具体的には配食サービス、定期的な安否確認および緊急時の対応(見守り)のサービス、地域における自立した日常生活の支援に資するものとして市町村が定める生活支援のサービスがあります。
介護サービスを受けるには
介護サービスを受けるためには、「要介護認定申請」が必要です。要介護状態または要支援状態に該当するかどうか、さらに介護の必要度(要介護度)を判定するため、要介護認定の申請をする必要があります。
申請からサービス給付までの流れ
- 申請
各市町村の担当窓口へ、介護被保険者保険証を持って申請をします。
申請は、指定居宅介護支援事業者や介護保険施設などに代行させることもできます。 - 要介護認定
調査員が訪問調査し、全国同じ基準による一次判定(コンピューター判定)をします。 - 介護認定審査会
訪問調査の結果、主治医の意見書などをもとに、審査・判定します。 - 認定
要支援1~2・要介護1~5
※申請から認定までは原則として30日以内に行われます。認定は期限付きで行われます。認定結果に不服がある場合は、県の「介護保険審査会」に申し立てができます。
在宅サービスを利用する場合
- 介護サービス計画(ケアプラン)作成
居宅介護支援事業者が介護サービス計画を作成します。利用者負担はありません。 - 在宅サービスの利用
居宅サービス事業者により、サービスが提供されます。
施設サービスを利用する場合
- 施設入所サービス利用
介護保険施設により、サービスが提供されます。
要介護度別のおおむねの状態像
自立(非該当)
歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分で行うことが可能であり、かつ、薬の内服、電話の利用などの手段的日常生活動作を行う能力もある状態
要支援状態
日常生活上の基本的動作についてはほぼ自分で行うことが可能だが、日常生活動作の介助や現在の状態の防止により要介護状態となることの予防に資するように、手段的日常生活動作について何らかの支援を要する状態
要支援1
手段的日常生活動作の一部に若干の低下が認められ、介護予防サービスを提供すれば改善が見込まれる状態
要支援2
手段的日常生活動作の一部に低下が認められ、介護予防サービスを提供すれば改善が見込まれる状態
要介護状態
日常生活上の基本的動作についても自分で行うことが困難であり、何らかの介護を要する状態
要介護1
要支援状態から、手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態
要介護2
要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態
要介護3
要介護2の状態と比較して、日常生活動作および手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態
要介護4
要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態
要介護5
要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態
事業対象者
市町村が行う基本チェックリストで判定された方が対象となる点で認定方法が異なる以外は要支援状態と同じ状態
介護サービスに関する苦情・相談は
介護サービスの利用に不満や苦情・相談があるときには、まず身近な窓口にご相談ください。
苦情・相談・申し立ての流れ
詳しくはこちらをお読みください。
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まずは事業所と相談します
サービスを提供している居宅サービス事業所や介護保険施設に直接相談するか、サービスの連絡・調整を行っている居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談します。
市・町・村に相談します
改善がみられないときや対応に不満があるときは、市町村の、介護保険担当課の窓口にご相談下さい。
国保連合会に相談・苦情の申し立てをします
市町村で解決できないことや申立人が特に望むときは、秋田県国民健康保険団体連合会(国保連合会)で苦情を受け付けています。
国保連合会苦情相談電話
TEL 018-883-1550